近年、世界中の自動車メーカーが様々なスタイルのSUVを販売している。
そんな中でも、長い歴史を持ちひと際ユーザーの注目を集め続けているのがトヨタを代表する本格SUV「ランドクルーザー」だ。そのシリーズは大きく分けて2シリーズあり、ステーションワゴン系の「ランドクルーザー」とライトデューティー系の「ランドクルーザープラド」で構成されている。
どちらも、誕生以来日本国内のみならず世界中の人々を魅了している。
そんな世界に誇る“キングオブSUV”のランドクルーザーシリーズを、今回は現行型を対象にそれぞれのグレードや車体価格、インテリア・エクステリアの違いなど、様々な観点からわかりやすく比較・解析していこうと思う。(以降、ランドクルーザー:ランクル、ランドクルーザープラド:プラドと省略)
「ランクル」と「プラド」をカテゴリー別で見比べていていこう
・コンセプト
・ボディサイズ
・エクステリア/インテリア
・パワートレイン
・価格
現行型ランクル300系(2021年発売)
世界的に根強い人気のランドクルーザー。
現行のランクル300系は、ランクル80シリーズとしては4代目のステーションワゴンだ。
2021年に70周年を迎え、従来のランクル200系から約14年ぶりのフルモデルチェンジを経て、現行型のランクル300系が発売された。
また、新しいランクルは「ランドクルーザー300 ZX」に加え、さらにハードなオフロードにも耐え得るスポーツモデル「ランドクルーザー300 GR SPORT」という新たなシリーズを設定した。
現行型プラド150系(2009年発売)
一方のプラドはというと、1984年に誕生したヘビーデューティーモデルであるランクル70の派生車種とされている。
前述で紹介したランクルの弟分として、その絶対的な存在感はもはやランクルに引けを取らないだろう。
そんなプラドの現行型はプラド150系、2009年にランクル4代目として登場し、2017年に大規模なマイナーチェンジを果たして現在に至る。
現行プラド150系は「TZ-G」・「TX“Lパッケージ”」・「TX」の3つのグレードで構成されている。
現行系ランクル300系・現行系プラド150系 それぞれのコンセプト
両者ともに高い悪路走行性を持った最高峰のSUV車であることは言うまでもないだろう。
そんな世界的に根強い人気のランドクルーザー。
その先駆けとなった「トヨタ・ジープBJ型」が誕生したのは1951年のことだった。
当初、警察予備隊用としての採用がされなかったことから民生用に舵を取り直し、その時に付いたモデル名が「ランドクルーザー」であった。
このようなランクルの歴史背景からいまだに引き継がれているコンセプトは“10million and beyond”「行きたい時に、行きたい所に行って、必ず帰ってくることができる」「世界一ではなく唯一無二の存在」だ。
数あるトヨタ車の中でも特に長い歴史を持つランクルだが、実に様々なモデルが存在しており、プラドもまたそのうちの一つだ。
“プラド”とはポルトガル語で「平原」を意味する。
世界中のどんな悪路も逞しく走りぬく本格派SUVの代表格であるランクルよりも、車体を少々コンパクトに街乗りをイメージしたライトデューティー車として誕生したのがランクル70だ。
悪路を駆け抜けるオフローダーでありながら、快適性・操作性・使用性を向上し、普段使いとしても対応できる仕様へとスタイルを一新した。
また、快適装備を充実し、さらにインテリアもラグジュアリーさを採用することで一躍人気を博した。
“絶対的な唯一無二の存在“を目指すランクルに対し、プラドは「パワー・操作性・静粛性・環境性などを高次元でバランスさせ、悪路・市街地選ぶことなくスムーズかつ快適に走れる。
扱いやすいクルマ」を最大の強みとし、またそれが強く支持されている。
現行型でボディサイズを比較
現行型ランクル300系のボディサイズをみてみよう。
全長は4,950mm×全幅1,980mm×全高1,925mmとなっている。
一方のプラドの現行型150系はというと、全長4,760mm×1,885mm×1,850mmである。
比較してわかるように、全長は190mm、全幅は95mmもの違いがある。実際に両者を扱ってみると、その見た目や数字以上に差は大きく感じられるだろう。
エクステリア・インテリアの違いは?
また違いはボディサイズだけに留まらない。エクステリアとしては両車の各パーツをよく見比べるとその差は一目瞭然だ。
両者共に、フロントバンパーやヘッドランプ、テールランプやリアバンパー等、それぞれのコンセプトに基づいて洗練されたデザインやパーツであることは間違いない。
ランクル300系はそれぞれのパーツの一つ一つが大きく迫力的であり、そのフロント容姿には他車には決して真似できない圧巻のインパクトを持つ。
対して、プラド150系は2017年に大規模なマイナーチェンジの際に強力さと先進性を一層高めたエクステリアへと生まれ変わった。
ランクルと比較すれば全体的にやや控えめなサイズ感であるが、一方では上品でシャープな印象である。どこか繊細さを持ち、走行する様はオフローダーでありながら実に優美な雰囲気が表現されている。
パワートレインを比較
「ランクル300系」「プラド150系」ともにガソリンモデルとディーゼルモデルの2パターンの設定である。
それでは、それぞれのパワートレインの差をみていこう。
ランクル300系の底力
現行ランクル300系では、以前のランクル200系からのフルモデルチェンジを機に一新。
V8エンジンを廃止し、新たにTNGAテクノロジーという新開発のV6エンジン ガソリンツインターボ(415ps/650Nm)と、3.3Lディーゼルツインターボ(309ps/700Nm)が設定された。
また、今回“GA-Fプラットフォーム”という最新技術が採用されており、最新の溶接技術等を駆使し、従来型比の約20%も上回る高剛性でかつ軽量なフレームを実現した。
操作性や環境性に配慮されたプラド150系
一方のプラド150系のパワートレインはというと、2009年から販売されている現行型プラド150系だが、2017年に大規模なマイナーチェンジを果たした。そのパワートレインは、最高出力276㎰、最大トルク380Nmを発生する4LV6ガソリンエンジン+5速ATと、最高出力163㎰、最大トルク246Nmを発生する2.7L直4ガソリンエンジン+4速ATの2パターンが設定されている。
お分かりいただけるように。
パワートレインこそランクル300系にはやや劣るが、街乗りユーザー向けに考慮し改良されていることから、スムーズな走行性と扱いやすさを持ちながら、本格SUVとしてのプライドは捨ててはいない。
また、ランクル300系が数値的に圧倒的な強さを見せつけているのは言うまでもないが、さらに実際に乗比べてみるとその差は瞭然だ。
ランクル2.5t近くの重厚感あるその車体をいとも簡単に動かすほどのエンジンを持ち合わせている。まさにキングオブSUVの名に相応しい存在感だ。
価格の違い
エントリーモデルの価格はプラド150系 TX2.7Lガソリン(5人乗り)が360万32600円(税込)に対して、ランクル300 GX(5人乗り)は482万6800円(税込)と、その価格差は実に100万円以上となっている。
圧倒的なボディサイズと本格SUV車を代表するに相応しい搭載エンジンの余裕を感じられるのがランクル300系。SUVの魅力をしっかり残しながら、街乗り仕様で扱いやすく価格や燃費までがしっかり配慮されているのがプラド150系だ。
このように、一見同じように見えるランクル300系とプラド150系だが、既存のスペックや価格帯などを細かく見比べてみると、その差は多岐に渡ることがお分かりいただけたのではないか。どちらを選ぶかは自分の好みやライフスタイルによって選べばよいだろう。